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ついにトリスタ日記すら作ってしまった 馬鹿タヌの物語。
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5000ヒットも7000ヒットも何かしてなかったので、ちょっとした小説を。

もっとも、あまり良い内容じゃないんですが。














6月19日の午後5時50分。

俺は1年近くぶりにあいつのいなくなった場所に来ていた。

あのときと同じ、わずかに雲があるものの晴れ渡った空、そして湿度の混じった風。

すでに献花もされていない。塩が撒かれた後も残っていない。血を流し落とした後も。

全部が過去の物になっている。

あの日と同じ服装をして、俺はぼんやりと空を見上げる。

それから、何度行ったであろうか、その現場をぐるりとみまわす。

二台の車が通るのがつらいくらいの十字路。それだけだ。

素直にそのときは携帯を使いながら運転するやつとか飲酒運転するやつとかその時点で死ねとか

思ったりもするが、それだけだ。

犯人を見つけたら園崎式の拷問をした後両手をミンチにしてミキサーに掛けて飲ませるくらい

平気でできるだろうが、今は想像することすらしんどい。

すっかりとあいつのことを考えることも少なくなった。

昔は、何も考えずとも頭をかすめた物だけれども。あの声しか鮮明に思い出せない。

写真は、持っていないから。

一年前の今、あいつはここで死んだ。

事故だった。

自分が会いたいとかメールをしてきたくせに、しっかりとすっぽかして。

そのせいで別れも何もなしで終わってしまったせいで、俺はちゅうぶらりんのまま

一年という時間を過ごしてきたのだ。

涙も枯れた。ぼんやりと過ごすこともした。年が一つ進んで、大学の4年になった。内定ももらった。

聞こえているわけもないけれど、空に向かってつぶやく。

「なぁ。そっちの調子はどうだ?」

「こっちはいろいろあったよ」

「大学も単位全部取ったし、内定ももらった」

「それから・・・・なんだろうな」

その声は、誰に届くこともなく消える。

空しく宙を掻いてゆったりと消える。

ほんの少しだけ笑って、煙草に火を灯す。フィリップモリスの、ライト。

あいつのにおいがほんの少しだけ漂う。こんなごまかしも、一年経てば常習に変わった。

「・・・・・・少し待っててくれ。あと60年くらいしたらそっち行くから。

知ったけど、人があんなふうに泣くなら、俺はまだ死ねないから」

本当に、3歳児のように泣きじゃくったことを思い出す。

空調と消毒薬の効いたあの集中治療室も一緒に。

そのときの貌が一瞬よぎる。

俺は、口から紫煙を吐き出して一番綺麗だったころのあいつを思い出した。

全部が、過去形なのだ。

携帯の液晶にはっきりと記された時刻は間違いなくあのときから31536000秒もの

時間が過ぎていることを教えてくれる。

「俺、生きるために歩くわ。ずっと一人って訳にはいかないだろうけど」

さら、と風が吹いた。

血を、洗い流して塩を撒いていた場所で、それをはっきり見た現場で。

警官が走り回っていた現場で。

あいつが心停止したこの場所で。

「・・・・・・さよなら」

風にながれて、俺の言葉は消えた。

それだけ言うためにここにきたんだったな。

思い返してほんの少しだけ目を細める。

そのとき、唐突にジーンズから振動音が響いた。

電話だ。

『もしもし』

『ほんまにひさしぶり。きてくれたんやね』

ディスプレイも見ずに通話ボタンを押すと、あまりにも懐かしい声が耳に届いた。

『え・・・・?』

甘く、優しい声。

『約束まもれんでごめんな。こっちはこっちでのんびりやってるから』

『・・・・・・そっか』

『たくさん優しくてくれてありがと。そろそろ、好きにしていいよ』

『あぁ・・・あんな。俺と短い間やけど、一緒にいてくれてありがとう』

『こちらこそ。・・・・・本当はもっともっと一緒にいるはずやったのに。ごめんな』

『まったく・・・怪我したら泣くから、なんて言ったのは誰だよ』

『申し訳ありませんです少佐。・・・私ね、もっと生きたかった』

ぐっ、と拳を握りしめる。肩が震えて止まらない。

『・・・・・・俺も。俺も一緒に生きたかったよ』

言うと同時に、涙がこぼれた。声は曇らなかった。

『頑張って生きてね』

『まかせろ。・・・ありがとう』

『うん、ありがと。・・・さよなら』

『さよならって・・・・・・待って・・・待ってくれ。

俺はまだまだ言いたいことがあるんだ報告したいことたくさんあるんだ俺は・・・俺は・・・』

『知ってるよ。その想いは別の人にあげて。

大丈夫だよ。

愛することが怖くなったとしても貴方ならきっと』

一瞬鼻詰まったような声になったが、あいつは続けた。

『一人で生きるんでしょ?・・・がんばんなさい。愚痴なら聞いてあげるから。

それじゃあ・・・ありがとう。私の年齢になるまでは、せめて死なないでね。

君が生きていけるように、私はいつでも祈っています』

それを最後に通話が切れた。

着信履歴は、残っていなかった。

目を閉じて、鼻でため息。枯れたと思ったが頬が濡れきっている。

どれだけ願ったことか。それが叶えられた。たとえ一方的に終わってしまったとしても。

また、はなしたいだなんて、叶えられるとも思わなかった。

あれは幻だったのか。それとも。

それは。

60年くらいしたら聞いてみることにする。

上を見上げ、それから前をまっすぐ見据えてゆっくりと家路を歩き出す。

電車で2時間。

その間、のんびり眠ることにしよう。

すっかりと夜のとばりが降りていた。




モチーフ↓


pya! Disappointed Love 


反省点のたくさん残る作品でした。

もっと精進しなければ。

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コメント
無題
…。o゜(p´□`q)゜o 。
つかさたーーん
泣きましたよ私
なにその文才!!
ちょっ人を感動させられるような小説かけるとか尊敬!!
なんてか切ないね・・・
うんいいものみしてもらった
ありがとうございます
これからもいいものかいてください!!
(*・ω・*)b
【2007/07/15 21:16】 NAME[サキ] WEBLINK[] EDIT[]
RE:サキ
レス遅くなってすみません。

感想ありがとうございました。

これからもっと精進していきますね
【2007/07/27 15:11】 NAME[つかさ] WEBLINK[] EDIT[]


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